小説版、薬屋のひとりごと1〜5巻を読んだ感想です。
書名:薬屋のひとりごと (ヒーロー文庫)
著者:日向 夏
発行年はそれぞれのタイトル横に記載
以下、ネタバレあり。
薬屋のひとりごと1 [2014年]

ざっくり言うと
謎解き少女と天女系イケメンの話
第1巻は個別の記事があるので、そちらを参照ください↓

薬屋のひとりごと2 [2015年]

策士羅漢の人間味を感じる回
出来事
後宮ではなく、壬氏直属の下女として外廷勤務になった猫猫。壬氏に仕える侍女の水蓮(スイレン)と部屋の掃除や身の回りの仕事をする。いくつもの事件の謎を解いていく猫猫。しかしそれらはやんごとなき方を狙った大きな計画のうちの一つ一つに過ぎなかった!それに気づいた猫猫はやんごとなき方を間一髪で自分が身代わりになり助けるが、なんとその方は壬氏だった。
この事件の背後にいたのは官女の翠苓(スイレイ)。罪を問われそうになった彼女は自殺するが、それは見せかけで、運ばれた死体安置所でのちに蘇り脱走していた!
感想
盛りだくさんの内容なので、何について書こうか迷いますが、一番印象に残ったのは、猫猫の両親である羅漢と鳳仙の物語。
変人として知られる軍師の羅漢ですが、思い通りに行かなかった過去の苦悩と、猫猫の母親である鳳仙と上手く行きそうだったのに歯車が噛み合わなくて彼女を失ってしまった話が面白かったです。人の顔の違いが分からない羅漢も、鳳仙と猫猫の顔はわかるというのはやっぱ愛だなぁ!と思ったのでした。そして猫猫の知性は両親から、隠しているけど本当は美しいところはお母さんから来てるんだとガッテン!
面白かったのは、李白に白鈴ねえちゃんの身請けについて相談された時。ねえちゃんのために李白の身体を隅々までチェックして、ついに1番大事なポイント!で壬氏に見つかってしまい「ごきげんよう、壬氏さま」とはぐらかすシーンは笑いました。壬氏が早とちりして嫉妬するのも可愛い!
そのやりとりを聞いている高順の様子が、始めは無我の境地から解脱して菩薩のような顔になったかと思えば涅槃図のようになり、最後は蜘蛛の糸が切れた罪人のような顔になってしまうのが最高でした。
翠苓は一体何者なのか、そしてどこに消えたのか?
また、壬氏が変装して花町の近くの飯屋で会った相手は誰なのか?
続きが楽しみです。
薬屋のひとりごと3 [2015年]

だが、ある!!
出来事
異国から来た交易品を扱うキャラバンに華やぐ後宮。しかしそれらがもたらした香油やお茶には、堕胎させる効果を持つものもあった!
そしてキャラバンの後に来た西国からの特使である二人の美女。皇帝と皇弟を誘惑しようという魂胆は失敗に終わり、猫猫と壬氏はリクエストされた「真珠の涙を持つ絶世の美女」を見事に再現して難を逃れる。
壬氏は桜蘭妃の父である子昌主催の狩りに招待され、猫猫を同伴させる。しかしそこでも飛発(フェイファ)という銃で命を狙われる壬氏。実は壬氏は皇弟でありその名を華瑞月(かずいげつ)というのだ。猫猫にそれを打ち明けようとする壬氏だが結局失敗してしまう。
フェイファは西国から来たものなのか?特使と子昌の関係はいかに!なぜ壬氏は本当の身分を隠しているのか?!
感想
この巻から急に出てくる女官、子翠(しすい)。アニメを見ているので今後の話はわかっているのですが、子猫を捕まえたのを皮切りに、キャラバンで再開し、壬氏の月の精の時も虫集めで出てきます。その後も怪談話の時に偶然居たりと出番が多かったです。一方で、前回姿を消した翠苓は全く出て来ませんでした。この翠苓と子翠の切り替わりがすごいです。
今回も盛り沢山の内容でしたが、私が特に面白いと思ったのは「選択の廟」の話。王母は自分の血を今後に残すために、自分の一族が持つ特徴である「赤と緑の色の区別がつかない」者を皇帝やその后に組み入れようとした。ナイスアイデア!さすが王母です。
そして先帝と壬氏の母である安氏の話も興味深かったです。安氏の回想部分で壬氏のことを「たとえ不義の子と言われようと、取り違えられた子であろうと安氏には大切な子だった」という部分があります。え、安氏、自分の子と阿多妃の息子が入れ替わってるの知ってるの?というか阿多妃のときは入れ替わった可能性もあるって感じだったのに、もう断定ですか?確実に入れ替わっちゃってるのか?ということは壬氏は(やっぱり)阿多妃と現帝の息子ということ?でも壬氏の回想では「父だと思っていた現帝は兄だった」と言っているから本人は知らないのか?でも阿多妃が宮を去るとき泣いてたよね?どういうことー?という状態になってます。
そして、安氏が壬氏に言った言葉。「お気に入りは隠しておかないと誰かに隠されてしまうわよ」そうか、これはこの後に猫猫が子翠たちによってさらわれてしまうことを暗示していたんだなぁと、先がわかっているので少しずるいですが答え合わせしました。
最後になりましたがカエル事件も衝撃的でした!アニメ版のセリフ、「だが、ある!!」は今年の流行語になると思ってたのは私だけじゃないはず!笑
最後のシーンで、高順は女帝の怒りを買って馬の名を捨てたとありましたが、それはどういうことなのか?
新しい謎がどんどん出てくるので目が離せません!今後も楽しみです。
薬屋のひとりごと4 [2015年]

ドラマティックな子昌&楼蘭劇場
出来事
・猫猫は翠苓に拉致され子翠とともに北の子(シ)の一族の村へ
・狐の面の祭、昔、西から来た民族が赤と緑の識別ができない帝の祖先
・子の一族と国の戦争勃発。壬氏は皇弟として禁軍を出陣
・子昌は倒れ、神美も飛発で自爆
・楼蘭も身投げし、壬氏の率いる軍は無事勝利を収めた
感想
ドラマティックな展開でとてもおもしろい巻でした。今まで、凄腕でありながら何かを企んでいるように描かれてきた子昌。実際は神美と国を愛し、国の腐敗を奥さん周りに集めて、戦争で一気に処分しようとしていたのですね。
とんだ狸だ!
しかも娘である桜蘭も母親にすべての種を明かし、母親の代わりに壬氏の頬に深い傷をつけ悪女を演じました。二人とも(特に楼蘭)かっこいい!このドラマティックな二十一話は題名が「事の始まり」となっています。これは子昌と神美の事の始まりという意味なのか、それとも楼蘭が壬氏に渡した紙に書かれていた、これから国に起こりうる事が始まるという意味なのか?
楼蘭が壬氏の頬を傷つけたときに“今さらなんの意味があろうかと思われるその行為が、楼蘭のその後を決定する”とあって、よく意味がわかりませんでした。でもこの後も絶対楼蘭出てくるよなぁ。なんてったって、今後国に起こりうることは子の一族がいると国が滅びるかもと言っていたし、楼蘭が出てきたらまた必ず大きな問題が起こるでしょう。
いつもサバサバ合理的な猫猫の人間味が出ていた所。壬氏たちが砦に突撃した際、猫猫は誰が攻めてきているのか知らないものの、一人の兵士が壬氏に見えました。まさか自分のこと助けに来てくれたのだろうか?と自問する猫猫。さらわれてから今まで最大限頑張ってたけどやはり猫猫も不安だったんだなと感じました。
また子翠のことを友達だと思ってたと言うところや、小蘭の手紙で涙ほろりする場面も、心がジーンとしました。猫猫も二人のことやっぱり好きだったんだなぁ。
今回の名ゼリフ
・「虫は冬を越せない、ただその子を残すのみ」by子翠
・「前より、男前になったではありませんか」by猫猫
・「おまえも毒をためているのか?」by壬氏
壬氏と猫猫の関係がどんどん近くなっていくのにドキドキしちゃいますが、最後の壬氏のセリフ「おまえも毒をためているのか?」は流石にキザすぎて恥ずかしいです。笑
薬屋のひとりごと5 [2016年]

正直この巻を読んだ後、寝込みました
出来事
・子の一族が治めていた北部の農村でバッタの被害が拡大
・飢饉を危惧する猫猫と壬氏
・関係国との会合および皇弟である壬氏の正妻選びが西都で行われた
・壬氏の正妻候補として来ていた里樹妃の身に2度も危険が及ぶ
・旅芸人の白娘娘が裏でなにかを企んでいる
・羅半は砂欧の女特使の一人から穀物の輸出あるいは特使二人の亡命を要請される
・女特使によると、北から虫の災いが来るという
・馬閃と里樹妃がいい感じ
・阿多と現帝の2つの約束:
①「お前以外を娶る気はない」②「せっかくなら国母にでもしてもらおうか」
感想
この巻で私が思ったのは、猫猫は壬氏の気持ちに気づいていて、彼女自身も壬氏のことが気になるが自分でその気持ちに気づかないふりをしているということ。壬氏が疲れていて緑青館で休んでいったときのこと。
「そろそろ観念したらどうなの?」という白鈴ねえちゃんに猫猫は
「なんのことだろうねぇ」と返します。
観念するとは、諦める、覚悟すると言う意味。壬氏の気持ちを受け入れる覚悟をしたらどうなの?という姐ちゃんに気づかないふりをする猫猫。
また猫猫が壬氏に「あーん」してバッタを食べさせた時。そこにいた緑青館のみんなは見てはいけないものを見てしまったという反応をし、趙迂は壬氏に「にいちゃん、自分のやってることに責任持ちな」と言います。猫猫は「あーん」なんてするタイプじゃなかったので皆が猫猫の恋愛モードを見て唖然としたのか?そしてその後、猫猫のタイプの顔を描きますが、結果はやぶ医者のような顔になってしまい、つまんねえなというように皆が退散していきます。
しかし三姫の女華だけは「あんたの気持ちわからなくもないよ。男なんてもの、いつ気が変わるかわかりゃしない。それが力を持つ男ならなおさらだ」「白鈴姐みたいな性格なら止めやしないよ。あれは魔性だからね。でもあんたは違う。白鈴姐もやきもきしているけど、性格が違うってわかってほしいもんだよ。猫猫、あんたはどっちかといえばあたし寄りだからね」「心が変わらぬ御仁はいない。ここにいたら嫌というほどわかるから。信じたところでなんになる」「所詮、私は女郎で、あんたは女郎の子」と言います。猫猫が壬氏に気があることを分かっているような口ぶり。
そして最後、猫猫が壬氏は正妻に誰を選ぶのだろうかと考えている所。『誰を選ぼうと関係ない。猫猫はただ、一人の薬師としてふるまうだけだ。ふるまうつもりなのに……。』気づかないふりをするつもりだった猫猫。『妓女たちは言う。それを知ったら地獄だと。男たちは言う。それを知るためにここに通うと。下に心がつくその文字は低俗と言われることもあり、所詮は遊びと切られることもあり、でも、無しには生きていけぬという者もいる。』恋について考える猫猫。自分でも壬氏のことが好きだと分かっていますよね。壬氏が求める愛は自分には欠けていると言う猫猫ですが、それも自分に言い聞かせているだけのように私には思えます。
実際問題、羅半は壬氏と猫猫がくっつくのには賛成です。そして私は羅漢はすでに猫猫と壬氏をくっつけることを視野に入れて陸孫を派遣していると思います。この巻から出てきた陸孫の役割は李白のかわりに壬氏にヤキモチを焼かせるというのもありますが、羅漢の思惑があるのは間違いない。また猫猫は女郎の娘と言いますが、その女郎のお母さんも今は羅漢の正妻になっているわけで羅の一族の姫君として壬氏に嫁ぐことは何の問題もありません。
猫猫は壬氏に“無難な”選択肢として里樹妃をあげますが、皇弟として正妻を無難な選択肢から選ぶことはないと思います。それこそ政治的に最大限使える相手が正妻となるべきです。私は猫猫は壬氏の妾になったほうがいいのではないかと思います。研究費などを出してもらう代わりに妾になる。今の帝と阿多のようなフランクな関係。でも主人公が愛人になるような物語だとさすがにファンも怒りそうなので有り得ないとは思いますが。笑
そして私がこの巻を読んで大ショックを受けて寝込んだこと。それは壬氏が猫猫の首を絞めてキスするシーン。壬氏はそんな事する人じゃないす。壬氏って華美な見た目に反して性格は実直で、自分の立場をわきまえていて、甘えん坊だけど自分を制御できるしっかりとした大人。ですよね?首を絞めるってもう暴力ですよ、戯れではないです。しかも彼は意識してるのかしてないのかわからないけど(私は彼はちゃんと理解していると思いたい)、皇弟という立場である以上、彼の行動には権力がいつも伴います。だから首を絞めるということは物理的な「力」と権力的な「力」を両方使って猫猫を従わせてるということ。その2つの力で猫猫の生殺与奪の権を握り支配しているということです。それは長くは続かなかったけど、もうそういうことやっちゃう時点で壬氏ではないと思います!私が思ったより壬氏のこと好きすぎて大ショックだっただけでしょうか…。他の女子ファンはこれを喜ぶのでしょうか?おまけに首絞めて猫猫が苦しそうな場面の挿絵までついてました泣。ここが見せ場なのですか?!あとで普通のキスするんだからそっちで良かったじゃないですか。
愛情と憎しみは紙一重です。女子向けの恋愛ストーリーには、純粋で荒削りな男の子ほどそれが切り替ってしまうのはよくあるし、それを挟むことで読者に彼の激しい気持ちを表すこともできる。だけど首絞めはだめですよぉぉぉぉ!せめて手首とか肩を強めに掴まれてあざができたくらいにしてほしかったです。うぅぅ。
以前も、壬氏が猫猫の肩にがぶりと噛みついて猫猫が痛いです!っていうシーンがありました。ちょっと変わってるなとは思いましたが、それ単体はまだ受け止められました。でも今回の首絞めシーンと合わせて一連の流れとすると、壬氏はとんでもないDV野郎なのでは?これまでは知性と青春のさわやかストーリーだったのに、今後は愛と権力と暴力のどろどろ愛憎劇になるのか?そんなはずがない!!
私も分かってます。そんなことにはならない。だからこそ今回の壬氏の行動には強い違和感を覚えました。今回のことは忘れて、6巻にさっさと進んだほうが良いのかもしれないです。
続きはこちら→【読書メモ】薬屋のひとりごと6-10巻 (ヒーロー文庫)
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